わたしたちは、昔から、お正月やお盆など生活に節目をつける習わしがあります。
その節目の日には、敬虔な気持ちで神様やご先祖様に感謝します。
つまり、それがハレの日です。
ハレの日には、家族やみんなの幸せや健康を願って、“ご馳走”を作り、神様やご先祖様にお供えをします。
その食材として、昔から用いられてきたのが“こうや豆腐”です。
原料は、“大豆”です。五穀のひとつである大豆は、神様からの授かりもの。
古来より、飢えや病から守ってくれる“邪気払いのパワー”があると信じられてきました。
こうや豆腐にも、そのパワーが期待されてきた、と考えても不思議ではありません。
そのうえ、大豆より消化に優れ、生の豆腐よりタンパク質やカルシウム、鉄分などの栄養もたっぷり摂れるのがこうや豆腐。カラダにとっても良いのです。
まさに、ハレの食材の主役といえます。
ハレの日にこうや豆腐をいただく風習。
それは、いにしえの人々の生活の知恵なのです。
わたしたちも、それにあやかって、ハレの日にこうや豆腐をいただきましょう。
【参考資料一覧】
●『凍豆腐の歴史』(宮下 章著/全国凍豆腐工業協同組合連合会)
●『祝いの食文化』(松下幸子著/東京美術選書)
●『正月とハレの日の民俗学』(宮田 登著/大和書房)
●『日本の食生活全集 全50巻』(農文協)
●『新版 日本の年中行事』(弓削 悟編著/金園社)
●『日本人 祝いと祀りのしきたり』(岩井宏實著/青春出版社)
●『12か月のきまりごと歳時記 五感でたのしむ季節の事典』(現代用語の基礎知識 2008年版付録/自由国民社)
●『ハンディ版 入門歳時記』(大野林火監修/俳句文学館編/角川書店)